子供に残してあげたいもの

日記

1.亡くなった妻の話題

 昨日からゴールデンウィークに入りました。子供たちも私も暦通りになりまして、5月2日と6日は学校や仕事になりますが、その他の日はお休みです。今日はゴールデンウィーク前半で休みを合わせやすかったので、亡くなった妻のお父さんとご兄弟、そして私の両親と弟夫婦、うちの家族が私の実家に集まり、昼食を共にしました。私の両親以外はそれぞれ仕事や学校がありますし、住んでいる所も関東、中部、関西などバラバラですから、意図的に集まる機会を作らないと本当に顔を合わせることがないメンバーです。妻の実家のメンバーは、今でこそ亡くなった妻の法事で会う機会はありますが、法事の頻度が少なくなると、お会いするのはお正月など限られた日になるのかなあと思っています。

 ところで、今回のようなメンバーで会うとやはり亡くなった妻の話題にもなり、生前の様々なエピソードが話題に出てきます。子育てについては子供の学校や習い事に関すること、家族で遊びに行った時の思い出、闘病のことなど。このような親戚との集まりなどで妻の話題が出た時は、特に違和感もなく子供たちもその会話を聞いています。しかし、妻が亡くなって以降、子供たちの方から亡くなった母親の話題を出すことはありません。亡くなった時は2人とも小学生でしたから、その年齢で母親を失うことの重大さは想像にたやすいのですが、子供たちから思い出を話すこともなく、悲しむといったような感情的になることもありません。でも、おそらく母親のことを思い出す瞬間はあるんだろうなと思っています。

2.母親との思い出

 もちろん母親との思い出はいっぱいあるに違いありません。なぜなら子供たちにとって、人生で最も長く同じ時間を過ごした人が母親だからです。長男が小学校を卒業する時に、担任の先生の計らいで子供に手紙を書くというイベントがありました。その当時は、妻が亡くなって間もなかったこともあり、私は長男への手紙に亡くなった妻のことを書きました。長男が生まれてから亡くなるまでの間の、妻と長男との関わりに関する思い出です。その手紙の感想を長男に聞いた時は、何となく嬉しそうな表情をしていて、亡くなった妻と私がいかに長男を愛していたかが長男自身に伝わったように感じました。

 一方、次男については、何となく妻の話題が出ると避けるような素振りを見せることがあります。妻が亡くなった時、次男は9歳だったので、母親の死に対し、どのように向き合えば良いのか分からなかったのだろうと思います。そのためかは分かりませんが、母親との思い出を話題に出すことは長男よりも少なく、その思い出にどう接したら良いのか分からないのかもしれないです。

 

3.成長の糧

 妻が亡くなってから1年半が経ちました。長男は中学2年生になり、次男も小学6年生になりました。妻が亡くなって以降、3人での生活にも慣れ、長男、次男とも充実した小中学校生活を過ごしています。長男は将来の夢があり、そのための学びを得られる環境を求めて、中学でのクラブ活動や習い事などを頑張っています。次男も小学3年生から続けているサッカーを頑張っています。妻が亡くなった頃と比較すると、日常生活では2人とも成長したなあと感じることがよくあります。

 2人とも母親の死を今後の成長の糧にしてくれればと思ったこともあります。しかし、今ではそのようには考えていません。私自身、まだ両親が健在ですから自分の親を亡くした経験がないのです。ですから、子供たちが母親の死をどのように感じているのか、本当のところは私にも分からないと言っても過言ではないと思っています。ですから、子供たちに対して母親の死を成長の糧にして欲しいと思うことは、ある意味、求めすぎではないかと思うようになり、そのような考え方はしないようにしました。むしろ、私自身も母親を失った子供たちに対して、今のような接し方が本当に良いのか分かりません。ただ、子供たちへの愛情は、亡くなった妻の分も含めて与えていくことが大切であると思っています。実際、妻が亡くなってから、子供たちの人柄に触れ、今更ながらですが、親として成長していると実感しています。

 

4.子供たちへ残してあげたいもの

 子供たちに残してあげたいものは、母親との思い出です。子供たちの記憶に残っている思い出はもちろん、残っていないと思われる母親との接点は、私が子供たちに伝えていくべきことだと考えています。そして、亡くなった妻の40年の人生のうち、私たち家族と一緒に過ごした14年だけでなく、それ以前に歩んだ妻の人生の軌跡についても子供たちの記憶に宿したいと思っています。幸い、妻の生前のご友人からもお気をかけていただいており、子供の頃や学生時代の妻のことをお聞かせいただく機会を作ることもできます。子供たちがもう少し大人になり、様々なことを受け止めていける年齢になった頃に、そのような機会を持ちたいと思っています。それが亡くなった妻への一番の恩返しでもあり、私が子供たちに残してあげられる最高のものであると思っています。もしかしたら、子供たちに母親との思い出を残してあげることが、子供たちの成長の糧になるのかもしれないですね。

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