1.リーダーシップとは
リーダーシップという言葉を耳にすると、思い浮かぶのは経営者や役職者といった組織を率いる立場の人たちではないでしょうか。もちろん、そのイメージであっていると思います。ただ、リーダーシップという言葉から想像しても、具体的にどのような行動を起こすことがリーダーシップなのかはイメージしにくいのではないかとも思うのです。
では、リーダーシップある行動とはどのようなものでしょうか。ひと言で表現すると「組織内のベクトルを合わせて目標達成に導く行動」と言えると思います。したがって、複数名の人間が集まれば、意見を一つにまとめないとバラバラに行動してしまうわけですが、そうならないように自分達のやるべきことを表現して、全員をそのやるべきことに向けて行動を促すことがリーダーシップある行動と言えると思います。
2.次男のサッカーチームで様子
次男はこの春から小学6年生になります。春休みに入り、時間的にも余裕がありますからサッカーチームで朝練をすることになったようです。最初はコーチの声掛けによるものなのかなと思っていたのですが、よくよく次男の話を聞くと、同級生のA君の呼びかけによるものだったそうです。このA君は、普段からチームの中でも周囲に声をかえてチームメイトをまとめるような立場の子です。朝練についても、このA君の呼びかけであったということを聞き、「なるほどね」と思いました。
実はこのような小学生のサッカーチームの中にある何気ない風景の中でも、将来、彼らがビジネスパーソンになったときに活用できる経験スキルというものが隠されています。それがリーダーシップです。人は複数名が集まると、自然にリーダーシップをとる人とフォロワーに回ってリーダーの意思に従いサポートする人に分かれます。だからこそ、集団行動がうまく進められるのですが、そういったことを子供の頃から学び、スキルとして体系的に身につけることは、非常に大切なことなのではないかと感じる瞬間があります。私自身、どちらかといえばフォロータイプではありますが、20代の頃、当時の上司の組織を采配する姿を見て感化されまして、自分もあのようなビジネスパーソンになりたいと考え、リーダーシップ論を学んだことがあります。そして、私自身の管理職としての経験を振り返ると、ビジネスパーソンとして活動する以上、リーダーシップはどのようなポジションの人間にも必要であるということです。組織を統括する経営者や役職者だけではなく、ひとりのスタッフであったとしてもリーダーシップは必要です。なぜかというと、組織の中では一人ひとりのスタッフに仕事を分担し、あるいは任せながら、一定期間を経てその進捗や成果を振り返ります。スタッフの立場で言い換えると、任された仕事を期日までにやり遂げなければなりません。仕事をやり遂げる過程では、他者の協力が必要である仕事も多々ありますから、そのような時に他者に働きかけ、十分な協力を引き出せる人材が仕事でも成果を出していけるのです。そこで必要になるのがリーダーシップになります。したがって、組織を統括する立場でなくてもリーダーシップは必要になるのです。
3.どのように学ばせるか?
リーダーシップを子供に学ばせることの重要性は、上記のように私自身も認識していることですが、どのように子供にリーダーシップを理解させ、実践経験を積ませるべきかは考えがまとまっている訳ではありません。しかし、それでは前進できませんから、今まで考えて実践してきたことをベースに記載しますと次の通りになります。
①家庭内でできること
よく言われるのが家事を子供にも分担してみるということです。お風呂掃除やトイレ掃除などのように、家庭内でも共有スペースに該当する部分の掃除などが有効と思います。家族の皆が使うものですから「みんなのために行動する」ことの大切さを学ばせることにつながります。実は、組織の中でリーダーシップを発揮する際の成功要因の一つに、”集団のため”という気持ちがベースにあることが重要になるのです。自分が目立ちたい、自分が評価されたいという利己的な発想でリーダーシップを発揮しても、その気持ちはどこかで見透かされますから周囲がついて来なくなるものです。したがって、家庭内でできることの一つ目に挙げることは、「みんなのため」という気持ちを子供の心に培うことだと思っています。
②兄弟同士でできること
次に集団の納得感を作り上げることの重要性です。これは兄弟のおられる家庭に限定されますが、兄弟間でテレビのリモコンの奪い合い、あるいはテレビゲームの奪い合いというのはよくある光景ではないかと思います。うちでも2人の子供達がテレビゲームをどちらか先にやるか、何時までやるのかといったような小競り合いはよくありました。小学生の低学年の頃までは、私が間に入り、公平性を保って子供たちにテレビゲームをさせていましたが、今では2人で話し合わせています。それぞれ自分がやりたいゲームがあり、何時間でもやり続けたいのですが、それでは相手が納得しません。自分も満足でき、相手も納得できるような方法を考え、互いに提案するようにさせています。集団の中でリーダーが「こうしよう」と発言しても、結局のところ、スタッフがそれに納得していなければ、やる気を引き出し高い成果につなげることはできません。したがって、高い納得感を集団の中で作り上げることが重要になるのです。
ちなみに我が家では、長男が提案し、次男がその提案を納得するかどうかという構図になっています。次男が駄々をこねたら長男が譲るというケースが散見されますが、今の状態では次男のリーダーシップ性が培われないので、どこかで何らかの投げかけを私の方からしなければならないと考えています。
③学校やクラブ活動でできること
家庭外では学校やクラブ活動が考えられます。次男の例でご説明すると、次男が所属しているサッカーチームではA君にリーダーシップ性があり、周囲をまとめる役割を担っています。ですので、次男がいきなりその役割を担うことは難しいのですが、その中でもリーダーシップを学ぶことは可能です。それはA君のフォロワーとして一緒になってチームをまとめる役割を担うことです。
フォロワーの役割は組織の中で非常に重要になります。リーダーの指し示したことを他のメンバーに浸透させ、一緒になって行動していくことが求められます。組織は人数が多くなればなるほど、リーダー1人だけで組織全体を動かすことが困難になります。次男の所属するサッカーチームは小学6年生が13名います。したがって、1人のリーダーが統率するには少々多めの人数になります。ですので、A君がやろうと発言したことに対して、同調し、皆を巻き込んで一緒に行動するフォロワーが何名かいると13名のチームワークは格段に向上します。次男に学ばせるとしたら、このフォロワーの役割を通じてリーダーシップを学ぶことだと考えています。
4.まとめ
リーダーシップは非常に奥の深いスキルであると感じています。それはテクニカルな要素と個々の人間のキャラクター(性格)の両面が関係するスキルであるからです。テクニカルなスキルは書籍やビジネススクールで学ぶことが可能です。一方、キャラクター面は自分自身の性格を矯正していくことが求められます。ただ、どのように矯正していくべきかは、リーダーシップ論を体系的に学び、自分自身の性格を客観的に分析して補うべき考え方を見出す必要があります。したがって、そう簡単に成し遂げられるものでもないのです。また、リーダーシップスキルは、頭で考えるだけでは身に付かず、集団の中の実践経験を積み重ねることで血肉化して行くものでもあります。
このように、リーダーシップのスキルはある意味、生涯の長い時間をかけて磨き続けるものですから、子供たちには今のうちからリーダーシップとは何かを学び、理解してほしいと感じています。
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